医学部予備校の費用は高額なことで知られていますが、その費用相場を把握することは重要です。この記事では、医学部合格を目指す予備校で必要な費用を比較します。また、学費を少しでも抑えるためのポイントも紹介します。特待生制度や割引制度の活用、受講コマ数の調整などを駆使して、高額になりがちな予備校の費用を節約してください。
予備校ごとの費用比較
難関学部への合格を目指す学生にとって、専門的な講義を受けられる機関に通うことは非常に有用です。しかし、医学部予備校にかかる費用は、決して安くありません。
一般的な塾に比べて高額であることが多く、経済的な負担が大きくなる可能性があります。そのため、医学部予備校を選ぶ際には、費用面にも注目し、自分に合った予備校を選択することが重要です。ここでは、医学部予備校の集団指導コースに焦点をあてて、予備校ごとにかかる費用を比較していきます。
80万円から150万円が相場
まず、必要となる費用の相場を確認しましょう。集団指導形式の予備校は、大人数で講義するため、少人数制や個別指導のケースと比較すると、費用が低めに抑えられる傾向があります。
一般的な相場としては、年間の費用は80万円から150万円程度です。医学予備校を選ぶ際には、授業の質や内容だけでなく、経済的な負担も考慮に入れて、自分に最適な予備校を選ぶことが重要です。また、プランごとでもかかる費用には違いがあります。予算に合った最適なプランを見つけることで、効率よく受験勉強を進められるでしょう。
各予備校の費用例
予備校でかかる費用の例を見ていきましょう。予備校によって、かかる費用は大きく異なります。たとえば、河合塾の医学部コースは、年間80万円から100万円程度の費用がかかります。駿台予備校では、年間の費用が90万円から180万円程度が必要です。
東進の場合は、受講する講義のコマ数によって費用が変動するシステムをとっており、年間費用は講義の受け方によって変わります。受講数が増えればかかる年間費用も高額となるので、注意が必要です。
個別指導の学費比較
ここでは、医学部予備校における個別指導のコースの費用について詳しく説明します。医学部予備校の講義形式は、集団指導コースが一般的ですが、なかには個別指導形式で講義する予備校も存在します。総じて、個別指導の予備校は、高額な費用がかかる一方で効果的な学習環境を提供してくれるため、医学部合格を目指す受験生にとっては非常に有効な選択肢です。
効率的な学習が期待できる
個別指導の最大のメリットは、自分の学力レベルや得意・不得意に合わせたカリキュラムが組まれるため、効率的に受験対策できる点です。講師が前に立ち、多人数に講義する一方通行の講義ではなく、悩みや疑問点が発生したときには、その場で解決しながら学ぶスタイルをとっているため、うまく活用すると弱点の補強に大変有効です。受験に必要な実力を、効果的に身につけられる講義形式であるといえるでしょう。
費用が高い傾向
個別指導は、受講者に合わせてカリキュラムが個別に設計される特性上、内容が非常に濃くなります。その分、費用もかなりの高額になる傾向があります。個別指導の費用として、年間費用として、350万円から600万円を用意しなければならないことが多く、その額は集団指導形式と比較すると3倍以上になります。負担が非常に重くなるのがネックです。
個別指導の費用例
個別指導でかかる費用の例を見ていきましょう。武田塾医進館で個別指導を受けるコースでは、年間140万円から330万円ほどの費用が設定されています。MEDUCATEでは、120万円から440万円程度が必要です。
また、メディカルラボでは、約500万円から600万円と、かなりの高額費用が発生します。成増塾の個別指導の費用は、3教科で約300万円です。予備校によってかなりの価格差があるので、講義の質やフォロー面の充実度を比較するのに加え、金銭面でそれほど余裕がない方は、安めの予備校を選ぶことも検討してください。
費用対効果を考える
個別指導の予備校は、費用が高額になる傾向があります。しかし、個別指導で医学部受験したいと考える方は、費用のみで予備校を選ぶのはおすすめしません。予備校を選ぶ際には、安いからお得、高額だから合格しやすい、と判断するのではなく、実際のカリキュラム内容や費用対効果をよく確認することが大切です。
同じ予備校でも、学習の進み具合や教科数により、費用は大きく変動します。とくに、個別指導コースは費用が高額になりがちです。自分が得意な科目は受講科目からはずし、苦手な科目に絞るなど、限られた予算のなかで、最大限の効果を発揮できるようなプランを検討することが求められます。
少人数制の学費比較
ここでは、医学部予備校における、少人数制コースの費用について詳しく説明します。集団指導コースと個別指導コースのメリットをかけ合わせた少人数制コースの費用は、両者の間に位置します。集団指導コースにおける費用のお得感と、個別指導コースの講義の質をあわせて提供してくれるため、医学部合格を目指す受験生には、おすすめできる選択肢のひとつです。
集団と個別の特徴をもつ
少人数制の予備校の講義は、1教室10人以下の人数で実施されることが多いです。集団指導コースと比較すると、静かで落ち着いた環境で授業を受けられるのがメリットです。また、個別指導コースと異なり、同じような学力をもつライバルたちといっしょに勉強することで、よい刺激を受けながら受験勉強を進められます。
さらに、少人数制の予備校は、一般的な個別指導の予備校とくらべると学費を抑えられる傾向にあります。一方で、講師の人件費や施設利用費などのコストがひとりあたりで高くなるため、集団指導コースと比較すると高額です。そのため、少人数制の予備校を選ぶ際には、自分の学習スタイルや予算と照らし合わせて選択することをおすすめします。
各予備校の費用例
少人数制の予備校でかかる費用の例を見ていきましょう。一般的に、少人数制の場合の費用は、年間で300万円から500万円程度が相場とされています。比較的費用を抑えられる野田クルゼの年間費用は、90万円から320万円程度の範囲内で設定されています。
野田クルゼは、コースや講義のコマ数で大幅に費用が変わります。成増塾では、3教科の受講で、年間170万円ほどがかかります。成増塾のシステムは野田クルゼと似ていて、受講する教科数によって費用が変動するタイプの予備校です。成増塾は比較的安価ですが、自分の志望校に合わせて受験する科目の数を絞るなどすると、費用をさらに抑えられるでしょう。
メビオでは、年間390万円から780万円ほど必要です。コース内容の選択によっては、個別指導よりも費用がかかる場合もあるため、学習効果が発揮できるよう、ポイントを絞って受講するとよいでしょう。
しっかりと内容を確認する
少人数制の予備校は、個別指導にくらべると費用は比較的安価です。また、静かで集中しやすい環境のなか、仲間と目標に向かってともに努力する体験は、個別指導では得られない魅力でしょう。しかし、費用の差は、集団指導と少人数制の差にくらべれば小さいといえます。つまり、もう少し費用を積めば、受講生ごとにカスタマイズ可能で、講義の質を高められる個別指導を受けられるため、少人数制における費用対効果でのお得感は、それほど感じないかもしれません。
少人数制の予備校を選ぶのであれば、費用以外の部分をしっかりとヒアリングし、メリットが大きいことを確認した方がよいでしょう。カリキュラム内容や講師の質、学習環境、予備校へのアクセスなども十分に考慮しましょう。予備校の説明会に参加したり、実際に体験授業を受けたりすることで、本当に自分に最適な学習環境なのか、学力を伸ばせるのかを見極めることが大事です。
なぜ医学部予備校の学費は高いのか
医学部受験専門の予備校は、一般の予備校にくらべて学費が高額になる傾向があります。医学部予備校の学費が高い理由は、プロフェッショナルな講師陣による個別指導や、少人数制の講義の提供、マンツーマンの指導がときには必要になるためです。医学部合格を目指す生徒にとって、これらの要素は非常に重要であり、効果的に学力を伸ばすために必要不可欠なものです。
講師の質が高い
医学部受験を専門に指導するためには、すぐれた講師陣が必要です。医学部の受験は、他学部とくらべて非常に難易度が高く、合格するためには最低でも65、難関大学の受験では70を超える偏差値が求められます。このため、指導する講師にも、高度な知識と指導力が要求されます。
もともとある程度能力をもつ受講生たちを、さらなる高みに昇華でき、医学部受験を任せられるプロの講師は、数が限られるのが現状です。医学部予備校では、専門知識をもつプロフェッショナルが必要であり、一般的な進学塾が、学生アルバイト講師を雇っても務まりません。一般的な講師とは、要求されるレベルが大きく異なるため、その人件費は当然高くなります。
少人数制が多い
医学部予備校の費用が高いのは、個別指導や少人数制での指導が多いことも要因のひとつです。医学部予備校では、個別指導や少人数制のクラスを設けていることが一般的です。これは、医学部受験が非常に高難度であるため、生徒一人ひとりの得意分野や苦手分野に応じた、きめ細やかな指導が求められているからです。
少人数制や個別指導では、受講生あたりの講師の人数が少なくなり、ひとりあたりの人件費が高くなるため、受講生ごとの学費も高額に設定される傾向があります。一般の予備校と比較して、医学部予備校の学費は2倍から5倍になることもあるほどです。
筆記試験以外にも対応
医学部入試での評価項目は、筆記試験だけではありません。面接や小論文などが課される場合もあります。したがって、医学部予備校では、模擬面接や小論文の添削などの受験対策が必要です。
模擬面接では、実際の面接のように練習し、医師を目指すうえでの心構えや倫理観をもてるような指導が行われます。小論文対策では、医学的なテーマに特化した内容の指導が必要となり、個別の添削が必須です。これらは、受講者の集団に対し講義するだけではフォローしきれず、どうしても個別での対応が求められます。よって、講義だけではなく、個人に対するほぼマンツーマンの指導が必須であることが、学費が高くなる理由のひとつです。
医学部予備校の学費を抑えるポイント
医学部予備校は、一般の予備校にくらべて費用がかかります。しかし、うまく制度を利用すれば、費用の節約が可能です。ここでは、学費を少しでも抑えるための方法を紹介します。医学部予備校は、金銭的に余裕がある人だけが通える場所ではありません。制度をよく理解し、限られた時間のなかでも学習効果が最大限に高まるように、慎重に考えて受講しましょう。
受講数を調節する
まず、受講するコマ数を調整することで、費用を抑えられます。医学部予備校では、受講コマ数や教科数によって費用が決められていることが多いです。したがって、受講するコマ数や教科数が増えれば増えるほど、費用が高くなってしまいます。費用を抑えるためには、受講コマ数や教科数を必要最小限にすることが有効です。
また、ふたつの教科を半期ずつ受講するなどもよいでしょう。自分の得意・不得意科目を事前に把握しておき、受験までに志望校の合格レベルに達する見込みがある教科は、思い切って受講を止めるか、コマ数を削減しましょう。これにより、大幅に費用を削減できます。
また、夏期講習や冬期講習、直前講習は、とくに費用が高い傾向にあります。これらの講習を受けないことで、効果的に出費の削減が可能です。ただし、自己判断で受講コマ数や受講する教科を削るのは避けましょう。何をどこまで削減するのか、予備校の講師やチューターに相談しながら、受講数を減らしても影響しないような、効率的な学習方法を見つけることをおすすめします。
特待生制度を利用する
多くの医学部予備校では、特待生制度を設けています。前年度の医学部一次試験合格者などを対象に、特待生制度が適用される場合があります。特待生制度を上手に活用することで、大幅に学費を抑えることが可能です。たとえば、野田クルゼでは、特待生になると年間費用が約90万円からとなり、通常の費用よりも大幅に安くなります。
成増塾の特待生はわずか3人のみ対象ですが、認定されると授業料が5割引になるなど、費用の大幅減額が実現するケースもあるので、可能であれば特待生制度を活用しましょう。特待生制度の対象条件や選出方法は、予備校によって異なるため、事前に確認しておくことが重要です。予備校の窓口で相談し、特待生制度を活用できるかどうかを確認してみましょう。
割引制度を活用する
非常にお得な特待生制度以外にも、兄弟割や早期入塾割などの割引制度を利用することで、費用を抑えられます。兄弟割は、すでに兄弟が同じ予備校に通っていることを条件に適用される割引で、入塾料や学費が安くなります。
早期入塾割は、早期に予備校を決めることで、費用がお得になる制度です。たとえば、河合塾では通常入塾料が10万円(税込)かかりますが、兄弟割などを利用することで、入塾料が割引になる場合があります。その他、早期入塾で入塾料が無料になるキャンペーンも用意されています。利用できる割引制度をフル活用し、費用の削減につとめましょう。
額面だけで判断しない
医学部予備校に通うには、多額の費用が必要です。同じ質の予備校に通うなら、安いに越したことはないと考える方も多いでしょう。しかし、費用の額面だけで判断しないことが非常に大事です。予備校から提出される費用見積もりは、内容が予備校ごとに異なります。見積もりを受け取った際は、合計金額だけでなく、入学金や季節講習、直前講習、面接や小論文対策の指導料などの内訳を確認しましょう。
これらがふくまれていない場合、希望する講義を受けるために、予想以上の追加費用がかかる可能性があるためです。また、プランもしっかりと検討するべきです。
たとえば、年間200万円かかる予備校で、2年かけて合格した場合と、年間400万円の予備校において1年で合格する場合では、最終的な費用は異なりません。しかし、後者の方が1年早く医師になれるため、将来的な収入を考えると得策です。目先の費用の安さに惑わされず、1年後や合格後まで考えてプランを選択しましょう。
寮費も必ず確認する
地方から都心部の予備校に通う場合は、学費以外にかかる寮費も確認が必要です。直営寮や提携寮を用意している予備校もあります。寮費は当然無料ではありませんが、交通費、生活費を含めて考えるとお得になる可能性もあります。総合的な費用を考慮して、予備校を選びましょう。
まとめ
医学部予備校の学費は、プロ講師による指導や個別対応、少人数制などが理由で、高額になる傾向があります。しかし、特待生制度や各種割引制度の利用、受講コマ数の調整などを活用することにより、費用を抑えることが可能です。また、目先の費用だけで予備校を選ぶのではなく、将来も考えて予備校やプランを決定することが重要です。生活費や交通費などもふくめ、総合的な費用を考慮するとともに、苦手科目に絞るといった効率的な学習計画を立てることで、経済的な負担の軽減が期待できるでしょう。