医学部を目指す受験生にとって、進路選びは非常に重要です。特に国公立大学の医学部は、学費の安さや教育水準の高さ、社会的信頼性の高さなどから、多くの学生にとって魅力的な選択肢です。しかし、その分人気があり、競争率が高い傾向にあります。今回はそんな国公立医学部でも、比較的入りやすい大学の特徴について解説します。
国公立医学部で入りやすい大学の特徴
国公立医学部で入りやすい大学にはいくつか特徴があります。一つずつ見ていきましょう。
学生数の多い大学
そのうちのひとつが学生数の多い大学です。定員が多い大学は相対的に合格者数が増えるため、合格のチャンスも増えます。定員が多いということは、選考の際に採点される範囲が広がり、一定の得点を確保すれば合格する可能性が高くなります。
共通テストを重視している大学
また、共通テストを重視している大学も入りやすいといえるでしょう。二次試験よりも共通テストの点数が合否に大きく影響するため、共通テストで高得点を狙える受験生にとっては二次試験の負担が軽減されます。
特に倍率が低い大学は、志望する受験生が少ないためよりねらい目の状態です。自身の偏差値よりも低い学校であれば、受験の際の合格ボーダーラインを超えやすくなります。
AO入試・推薦入試を採用している大学
一方でテストに自信がない方におすすめなのが、AO入試や推薦入試など、特殊な選考方式を採用している大学です。これらの選考方式は学力試験だけでなく、面接や課題、志望理由など多面的な評価をとっています。そのため、自分の特性や経験などの学力以外の部分でアピールが可能です。
地方の国公立大学
他にも、地方の国公立大学は、都市部に比べて競争率が低いことが多いです。地域に密着した大学は、その地域の医療を担う医師を育成することを目的としているため、地元出身者や地方での勤務を希望する学生に対して優遇措置を取ることがあります。例をあげると、地域枠や特別推薦枠を設けている大学です。自身の経歴や将来のキャリアに沿った地域枠がある大学なら、候補として検討してみてはいかがでしょうか。
国公立の医学部で入りやすい大学
この章では、国公立の医学部で入りやすい大学を具体的に紹介します。ひとつ前の章で解説した通り、入りやすい大学は「定員数が多い」「共通テスト重視」「偏差値が低い」「特殊な選考方式」「地方密着型」などの特徴があります。
文部科学省がまとめた定員数が多い国公立の医学部は新潟大学や筑波大学が代表的です。特に新潟大学は令和5年から入学テイン員を全国最多の140人(うち地域枠40人)に増員し、医療人育成に力を入れているのがわかるでしょう。共通テストの比率が高い大学は、徳島大学をはじめとして地方大学に多く見られます。
AO入試を導入している大学は高知大学、東北大学、推薦入試は山形大学や弘前大学、筑波大学が十数名の募集をかけています。特に旭川医科大学は、AO入試・推薦入試いずれも募集しているのです。
偏差値が低めの大学としては高知大学、徳島大学、徳島大学、山形大学、秋田大学などが代表的です。偏差値が低いといっても、医学部の中で相対的に低いというだけで、いずれも約63以上の偏差値が求められます。
地方密着型には、秋田大学や佐賀大学が挙げられます。いずれも地域医療枠を重視し、県内での医療活動をサポートする制度が整い、地元の受験生に対して門戸を広げているのが特徴です。ただしこれらの大学の特徴は社会情勢や大学の事情などにより年によって変わることもあるので、受験前に最新情報を取得してよく検討しましょう。
入りやすい医学部に入学する際の注意点
国公立医学部の中でも比較的入りやすいとされる大学を目指す際には、いくつか注意点があります。
ねらい目とされる医学部は、他の受験生たちからも注目を浴びやすいため、最終的に志願者が増加してしまう可能性もあります。たとえば、前年は受験者倍率が低かった大学が、翌年は受験者倍率が高くなる「隔年現象」が医学部受験では見受けられます。この現象が発生する原因は、対象の大学で前年志願者が増加したというデータを見た受験者たちが「合格は難しい」と判断して志願者が減少し、次の年には前年の低い倍率をみた受験者たちが「合格しやすそうだ」と受験志願することが繰り返されるためです。
特に「医学部」へ合格することを第一に考える受験生にとって、前年の倍率情報は受験先を決める重要な情報になります。しかし、受験倍率は入試科目の内容や募集人数の増減などさまざまな要素が絡み合って変動するため、重視しすぎないようにしましょう。
同様に、入りやすさだけに固執することも危険です。医者を目指して医学部へ進学することは、将来のキャリアプランだけでなくライフプランにも大きく関わる重要な選択です。受験に合格しても、自分の興味や希望と合わない教育方針やカリキュラムだった場合にモチベーションが低下してしまいます。
志望大学の徳勅を理解し、自分の興味や将来の目標に合った大学を選ぶことが重要です。また、入りやすいとされる医学部を受験する場合も、対策を怠らずに準備を整えましょう。
まとめ
国公立医学部で入りやすい大学を選ぶ際には、地域に密着した大学や共通テスト重視型の大学、定員が多い大学、特殊な選考方式を採用している大学、そして進学後のサポートが充実している大学などの特徴を参考にするとよいです。自分の学力や志望する医師像に合わせて最適な大学を選ぶなど、しっかり対策しましょう。進路選びは将来のキャリアに直結する大切な決断なので、情報をしっかり収集し、後悔が残らないよう選択してください。